これは 読売新聞の”私の花物語”という欄に、アザミの花をパソコンで

描いて、短い文章と一緒に投稿したものです。



【子供と触れたあざみ

 知らない町に嫁いで、二人の子供に恵まれた。

朝の早いのも苦にならない季節には、よく子供達の手を引いて、あぜ道を散歩した。

 素足にぞうりを履くと、朝露が足首をぬらして、ひんやりときもちいいこと。

 あ、あざみの花!

一面の緑の中に、二輪の深紅の花を見つけた。そっと触れると、茎の絨毛がちくちくするけれど、

手折って家に飾ろう。

 美しい花を見つけた今日はきっといいことがある。そんな気がして、子供と歩く私の心も

はずんだ。

 あんなこと、こんなこと、いっぱいあった。そしていまは、子供たちはみな成人してしまった。

京都府京田辺市 植松やよいさん 51歳=絵も 】