京都新聞  窓 欄   50歳

そして神戸新生のさなか


神戸に行った。二十歳の娘に誘われて。JR神戸駅周辺で

遊んだ。ショッピング街では、見るものすべて欲しくなるような

雑貨の店が並び、コンクリートジャングルの中、真紅のシャクナゲ、

黄金色のツツジ、ホワイト、ピンクと、カラフルに生息づいている。

振り返ると大震災の日、映像を通して目にした神戸の街は

どうだったろう。至るところ火の海と化し、巨大な高速道路が

横倒しになっていた。わが家でも、宝塚市に住む実母を一時預かるなど

震災直後の街並みを肉眼で見た。青いビニールシートと更地の

目立つ街だったのを思い返す。

多くの人たちの無念の思いをたたみ込んで、今、神戸は新生のさなかにある。

行き交う人々にも活気があふれ、エキゾチックな街は魅力を取り戻し

つつある。

神戸は私のふるさとへの通り道だ。京都では手に入りにくい、新鮮な

海産物を少し買い求めて、帰路に着いた。