数年前、市役所の広報が、300名に抽選で皇帝ダリアの苗を無料配布すると報じた。

早速、往復はがきで応募したら当たった。30センチほどの苗を大きめの鉢に植えこんだ。

背丈はグングンと伸びた。開花を楽しみに水やりも忘れなかった。季節が来れば

咲くものと思っていた。

この地に越してきて、初めて皇帝ダリアを知った。恐ろしく背の高い、藤色をした大輪の花が真冬になっても

咲き続けているではないか。その名前を知ったのは、程なくしてからだった。

市役所の計らいに、ものすごく得したような気がして嬉しかった。あの皇帝ダリアが我が家に、、。

きっと毎年咲いてくれると楽しみにしていた。手入れも時々液肥を与えるくらいでよいと、聞い

ていた。

けれど植え付けてから、背丈は伸びるものの、一度も花は咲かない。育て方が悪いのか。

半分あきらめの境地で、鉢も家の隅っこに追いやられた。強い植物なのだ。ろくに手入れもさ

されずとも今年もグングン背は伸びた。

写真の皇帝ダリア、今年こそはと期待を込める。でもきっと今年も花は咲かないだろう。

奇跡は起きるだろうか。