京都新聞 窓欄に掲載 三十才
心痛む母親の子殺し
自分で抜け道作ろう
母親がわが子を殺すなんて、どん な思いなのであろう。
ただ、母性喪失の母親としてのみ責められるには、余りにも
悲しすぎる。わが子のかわいくない親があろうか。死の苦しみ
を超えて、産み落としたもの。一日だって心底にくいなど思える
ものか。子殺しの記事をみるに付け、わがことのように心がう
ずく。何もわからぬ幼児の死ほど、心痛むものはない。
そんな事件を見聞きした日は、一日中心が暗い。
何とか彼女たちを救う方法がなっかたものかと、さまざまに心
乱れる。
私には現在、二歳の男子と十ヶ月の女子がいる。悪戯盛り
最高潮の長男、そろそろ自由に行動し始めた長女。かわいい
半面、とてつもない労力が吸い取られる。ときにムラムラと血
圧の上がるのを感じる。
核家族の増えた現在、乳飲み子を抱えた母親は、皆共通の
悩みを持っていると思う。
貧困は人間の心をいじけさせる。アパートの密室化も、育児
ノイローゼに無縁ではあるまい。夫といえど、仕事で疲れて帰
れば、子守どころではない。しょせん、育児は母親に
100パーセントおんぶしてくる。だから、抜け道を作ろう。自分
だけの時間を積極的に作ろう。周囲の次元の低いうわさなど
気にしないで、中身のある母親になろう。部屋が汚れていたって、
洗濯物がたまっていたって、そんなこと長い人生では何ほどの
ものでもない。かっこよく、上手になまけよう。
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作者評
何しろこれは40年前に投稿したもの。文章の」表記が一部正しくないのですが、一太郎を使うのが
十数年ぶりのせい 。機能はかなり進んでいるのでしょうが、静電気で誤作動の連続で、たったここまで
入力するのに二日間を要しました。めげず、がんばります。