京都新聞  窓 欄    36歳   昭和58年

主婦パートと母子のきずな


 子供たちの入園、進学を,期に、これまで専業主婦として歩んできた母親たち

にとって、ふと自分の来し方をふり返り、未来に向かって今までにできなかったことに

挑戦してみようと胸をふくらませていることでしょう。

 六年前、保育園への登園の朝、娘は私の手をギュッとにぎって言いました。

「お母さん、きっとレコードの鳴ってるときに迎えに来てや」

 ”レコード”とは保育園での退園時刻(午後四時)の合図です。午後四時を過ぎての

延長保育が娘には、つらくてたまらない時期でした。「お母さん、XXちゃん、最近

笑いが少なくなりましたよ。きっと、延長がつらいのでしょうネ」

 これは娘がお世話になっていた保母さんの心温まるアドバイスだったのです。私は

娘の小さな必死の手の感触を味わいながら”パートに徹しよう、それでいい”と心を

決めました。

 主婦のパートといえば、午前十時ー午後四時が最も勤めやすい時間帯。しかし、

人が本当の仕事をしようとすれば、この時間帯は無理です。

 昨今、女性の自立、主婦パワーの職場進出、女性労働者の待遇改善などが

叫ばれているのは、喜ばしいことですが、主婦の再就職に際して、私の体験から

一言。

ねくすと